2014年12月24日水曜日

We Wish You A Merry Christmas


子供の頃からクリスマスにはロクな思い出がない。例えば、異性と二人だけでクリスマスを過ごしたのは、夫がはじめてで、しかも結婚後、という具合。暗黒の娘さん時代。当然、結婚後最初のクリスマスは気合いを入れて料理を用意したが、夫はしらけた顔でいつも通りの小食に徹し、チキンとケーキに至っては手つかず丸ごと残された。僅かに残っていたクリスマスへの期待、ここで終了。以後、年末の忙しい時期にクリスマスなどやってられっか!夕食は鍋にしちまえ!というお手軽第一で過ごしている。


私にとってクリスマスソングといえばこれ。
We Wish You A Merry Christmas


1982年に細野晴臣と高橋幸宏が発起人となり、アルファレコードに「YENレーベル」が作られた。このアルバムはそのYENレーベルが1983年に出したオムニバス。 以来、廃盤と復刻を繰り返している名盤。 

※以下、収録楽曲 
「25 Dec.1983」細野晴臣 /「銀紙の星飾り」ムーンライダース /「Belle Tristesse(妙なる悲しみ)」越美晴 /「Prelude et Choral」上野耕路 /「降誕節」戸川純 /「CE JOUR LA......」ピエール・バルー /「祈り」大貫妙子 /「ほこりだらけのクリスマス・ツリー」伊藤銀次 /「WHITE AND WHITE」立花ハジメ /「ドアを開けたら」高橋幸宏





中学三年生から先、一人暮らしをするまで音楽はカセットテープで聴いていた。実家が倒産し、集めていたレコードはすべて札幌の家に残されたまま二度と私の手には戻らなかったから。そこで居候していた親戚宅の従兄弟からウォークマンを借り、音楽は友人にダビングしてもらっていた。

でもこの「We Wish You A Merry Christmas」は、ダビングしてもらったものではなく、テープを購入した。あの頃、年末年始が近づくと「神様などいない」「欲しいものは自分で手に入れる」と欧米の、日本の、すべての神様に喧嘩を売りまくっていた。でも本当は「私の居場所はどこですか?」とマッチ売りの少女のようにイルミネーションの町、家々の灯を眺めていた。だからせめて自分で自分を温めるようにこのテープを買ったんだと思う。

今でも町にイルミネーションが灯ると胸がキュンとくる。でもマッチ売りの少女はもういない。いるのは、ツラの皮と皮下脂肪を蓄えた「誰だお前」なオバサン。でも家では夫が待っている。私が望んでいたクリスマスやお正月、それは心が痛むことのない日——ただそれだけだったんだ、なんて思う。すべての神様、ありがとう。

皆さま、よいクリスマスを。