2014年9月18日木曜日

刑務所の中――崔洋一・監督、主演・山崎努、原作・花輪和一

原作、花輪和一。花輪和一が銃砲刀剣類不法所持、火薬類取締法違反で懲役3年で服役した際の体験をマンガにしたものの映画化。2002年公開。マンガが面白かったのでこちらも観てみました。


主演の山崎努。同室のムショ仲間には、昨年話題の大和田常務の香川照之、ゴローちゃんこと重松豊もいるし、大杉蓮など脇役が豪華!一癖も二癖もある役者の抑えた演技がたまらん。こういう話が好きです。刑務所物お馴染み、嘘つきや密告者もいるにはいるんだけど、些細な出来事として日常に飲み込まれていく。ドラマチックな展開があるわけじゃなく、淡々と日々を描いているようなもの。人によっては退屈かもしれないぐらい緩い。

切なさも、「ここに来て生まれてはじめて年越し蕎麦食ったなあ」ぐらいがいいの。YouTubeではフル動画もありました。



刑務所といえば有名なのが「ショーシャンクの空に」。名作ですが、どーにも苦手。まず「無実の罪」という設定がいたたまれない。過酷な環境に耐えて忍んで、、、辛い、辛過ぎる。こういうドロドロした話が物凄く苦手。DVDで観ましたが、途中何度も逃亡。よわむち。苦手満載の映画ではありますが、どこがよかったかといえば、レコードをかけるシーン。クライマックスの物理的な解放はヤッター!ではあるのだけどね。

刑務所ものではないけど(いや刑務所にも入るけど)、いたたまれないといえば「ダンサー・イン・ザ・ダーク」。こちらも冤罪もの。ショッキングなラストではあるけど、後味が最悪かと言えばそうは思わない。幸福の王子、人魚姫、鉄腕アトム、ジャングル大帝、、、。子供の頃に慣れし親しんだそれらのラストにも似ている。

愛とは。自由とは。願いとは。欲望を削ぎ落し最後に残るものとは。——普段、こういうテーマは避けて通ってます。心身の消耗が半端ないので、私自身にそれなりの準備やフォローが必要。最近、映画をあまり観なくなったのはそのためかもしれない。それでも次に映画で観ようと決めているのは9月6日公開の「イヴ・サンローラン」。華やかで、さぞ混沌としているのでしょう。不幸な話やドロドロは苦手だけど、芸術家のそれは別。ふふふ、苦しめ。